こだわり抜いた排卵誘発・胚移植法

1回の採卵あたり妊娠率71.4%を支える当院の採卵周期・移植周期の戦略
当院の2020〜2023年の採卵1回あたりの妊娠率は71.4%です(30–39歳/妊娠=胎嚢確認/採卵3642周期/反復不成功例含む)。
この数字は、条件を限定した症例のみの結果ではなく、採卵3642周期の実績で反復不成功例もすべて含んだデータです。
私たちが目指しているのは、「採卵回数を増やすこと」ではなく、1回の採卵の価値を最大限に高めること。そのために、排卵誘発・培養・胚移植までを一体の戦略として設計しています。
体外受精の成績は「採卵・培養・胚移植」の総合力で決まる
体外受精の妊娠率は、どれか一つの工程だけで決まるものではありません。
- 良い卵子を採ること
- 受精・培養環境を最適化すること
- 胚移植を最適な方法で行うこと
この3つが連動してはじめて、高い妊娠率につながります。
どれか一つが優れていても、他が不十分であれば結果は安定しません。当院は生殖補助医療(ART)専門クリニックだからこそ、この3工程を分断せず、最初から最後まで戦略的に設計しています。
こだわり抜いた排卵誘発
排卵誘発は「量」ではなく「質と設計」です。
排卵誘発では、
- 自然周期か刺激周期か
- 内服薬か注射か
- 注射の種類・量
- 刺激開始のタイミング
- 採卵日の決定
など、多くの要素が関わります。
採卵の考え方として大切なのは、単に卵子を多く採ることではありません。質の良い卵子を、適切な数、適切なタイミングで採ることです。
そのために、年齢やホルモン値、卵巣機能、これまでの治療経過を総合的に評価し、患者様ごとに設計します。
排卵誘発は、漫然と注射を打ち、卵胞が育ったら採卵すればよいというものではありません。一人ひとり異なる「卵巣の反応」に合わせたオーダーメイド設計が必要です。
当院の排卵刺激法
排卵誘発法にはいくつかの方法があり、年齢・AMH・ホルモン値・これまでの治療経過などを総合的に判断して選択します。
それぞれに特徴があり、「どれが一番良い」というものではありません。当院では患者様の卵巣機能や治療戦略に合わせて適切な方法をご提案しています。
当院では以下の3つを中心に複数の卵子を育てていきます。

- クロミフェンーFSH・HMG法
- ショート法
- PPOS法
それぞれの刺激法の内容をご紹介します。
クロミフェンーFSH・HMG法
クロミフェン(内服薬)を使用して卵胞発育を促し、必要に応じてFSH(卵胞刺激ホルモン)やHMG(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン)注射を併用する刺激法です。注射を組み合わせて発育をサポートし、採れる卵子の数を増やします。
■ 特徴
- 刺激が比較的穏やか
- 卵巣への負担が少ない
- 自然周期より効率よく複数個の卵子を目指せる
- 注射量を抑えられる場合がある
■ 向いている方
- 卵巣機能が保たれている方
- 過去に強刺激で過剰反応を起こしたことがある方
- できるだけ身体への負担を抑えたい方
低〜中等度の刺激として位置づけられます。卵巣の反応を見ながら柔軟に調整できる方法です。
ショート法
月経開始直後からGnRHアゴニストを使用し、その後FSH・HMG注射で刺激を行う方法です。最初に一時的なホルモン分泌の「フレア効果」を利用して、卵胞発育を促進します。
■ 特徴
- 卵胞を力強く発育させやすい
- 卵巣予備能が低下している方にも適応となることがある
- 刺激量はやや多め
■ 向いている方
- 年齢が高めの方
- 卵巣機能が低下傾向にある方
- 以前の刺激で卵子数が少なかった方
卵巣の反応を引き出すことを目的とした刺激法です。卵胞の立ち上がりを重視した方法です。
PPOS法
刺激中に黄体ホルモン(プロゲステロン)製剤を使用し、自然なLHサージ(排卵)を抑制する方法です。従来はGnRHアンタゴニストを使用して排卵を抑えていましたが、PPOS法では内服薬でコントロールします。
■ 特徴
- 排卵抑制が安定している
- 注射回数を抑えられる場合がある
- 計画的な採卵がしやすい
■ 向いている方
- 排卵コントロールを安定させたい方
- ホルモン変動を抑えたい方
近年広く行われている方法であり、ホルモンコントロールの安定性が特徴です。
当院で実施している「カウフマン療法」とは?
当院では、採卵周期の前に「カウフマン療法(ホルモン補充療法)」を行っています。
これは、卵巣をしっかりと休ませ、採卵に向けてホルモン環境を整えるための大切なステップです。
カウフマン療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を周期的に補充し、人工的に月経周期をつくる治療法です。本来の月経周期に近いホルモン環境を再現することで、ホルモンバランスを整える、卵巣を一度リセットするなどの目的があります。
体外受精では、排卵誘発のためにホルモン刺激を行います。その結果、通常よりも多くの卵胞が発育し、ホルモン値も大きく変動します。その際に卵胞の発育やホルモン環境が不安定になったりする可能性があります。
当院では、採卵前に一度ホルモン環境を整え、卵巣をしっかり休ませることが妊娠率向上につながると考えています。そのため、多くの場合でカウフマン療法を実施しています。
ただし、一部の患者様にとって必ずしも必要でない・実施しない方がよいといった状況もあるため、年齢・AMH・ホルモン値・これまでの治療経過などから総合的に判断していきます。
妊娠率を左右する「胚移植」
良好な胚が得られても、移植の質が低ければ妊娠率は下がります。胚移植は非常に繊細な手技であり、使用するカテーテルの種類や挿入方法、胚を置く子宮内の位置、注入スピード、子宮収縮への配慮などの違いにより、妊娠率に差が出ることもあります。
当院では、これらを考慮して、超音波を使用して適切な位置に胚を移植し不必要な子宮刺激を避けています。これにより、妊娠率において高い水準を保っています。