命と向き合い続けた夫婦の原点

よしひろウィメンズクリニックの原点は、私たち夫婦自身の妊娠・出産の経験にあります。
2011年、私たちは一卵性双子の女の子を授かりました。妊娠22週2日、体重500gにも満たない状態で誕生した長女・瑛南、次女・玲南。2人は懸命に生きましたが、生後3日、そして76日で天国へ旅立ちました。
妊娠20週で緊急入院し、「日本では22週未満は救命対象にならない」と告げられた現実。中絶という選択肢を提示されながらも、私たちは迷うことなく「子どもの命を優先してください」と答えました。
出産は命の誕生と喪失が同時に訪れる、あまりにも過酷なものでした。
その後、妻は深い喪失と向き合い、精神的な治療も受けました。私自身も、父親として、そして医師として「なぜ救えなかったのか」「何ができたのか」を問い続ける日々でした。この経験がなければ、私は産婦人科医の道を選んでいなかったと思います。
命が宿る喜びと、失う痛み。その両方を知ったからこそ、不妊治療に悩む方の不安や恐怖、希望に、心から寄り添える医師でありたいと強く思うようになりました。
開業を決意した理由

産婦人科医として研鑽を積む中で、私は不育症と不妊症の分断に強い違和感を抱くようになりました。
「妊娠できない」「妊娠しても続かない」——本来つながって考えるべき問題が、専門の違いによって切り離されている現状があったのです。
不育症の研究と臨床を深く学びながら、不妊治療を専門とすることで、この2つをつなぐ医療ができるのではないか。そう考え、体外受精(IVF)を中心とした高度生殖医療を専門に学びました。
同時に、妻自身が不妊治療を経験し、通院の負担、長い待ち時間、仕事との両立の難しさ、そして精神的な消耗を身をもって知りました。「治療がつらい」のではなく、「治療を受け続ける生活そのものがつらい」。この感覚は、患者さんの声と完全に重なっていました。
だからこそ、治療成績を追求するだけでなく、時間的・経済的負担をできる限り軽減し、心が折れない環境をつくりたい。
その想いから、2019年、東京都台東区・上野の地によしひろウィメンズクリニックを開業しました。
治療方針への想い

よしひろウィメンズクリニックでは、これまでの臨床経験と研究に基づき、その時点で考えうる最善の治療を責任をもって提供することを治療方針の軸としています。
不妊治療は医学的な判断だけでなく、治療を続ける中での不安や迷い、精神的な負担が大きくなりやすい分野です。だからこそ当院では、排卵誘発法や胚移植の方法、治療の進め方について、医学的根拠と効率性を重視しつつ、患者さんが過度に悩み続けることのない治療設計を心がけています。
症例によっては明確な正解が見えにくい場合もありますが、その際は状況を丁寧に説明し、患者さんの想いにも耳を傾けながら方針を決定します。迷いを抱えたまま治療を続けさせないこと、心の負担をできる限り軽減することも、医療の重要な役割だと考えています。
チーム医療への考え方

よしひろウィメンズクリニックでは、医師・看護師・培養士・受付スタッフが、それぞれの専門性を活かしながら、患者さんを支えるチーム医療を大切にしています。
不妊治療では、診察室を出た後に不安や孤独を感じる方も少なくありません。そのため当院では、医師による患者様のご質問メールの返信、培養士による卵グレード外来、看護師による相談対応や、日常的な声かけを通じて、患者さんの気持ちを受け止める体制づくりを行っています。
治療の技術だけでなく、「安心して通い続けられるか」「話しやすい雰囲気があるか」も治療の質の一部と考え、スタッフ全体で共通認識を持つよう努めています。心と身体の両面から治療を支えることが、結果的に患者さんの負担軽減につながると考えています。
患者さんへのメッセージ
不妊治療は、身体的な負担だけでなく、先の見えない不安や焦りなど、心への負担が大きくなりやすい医療です。
「誰にも相談できない」「弱音を吐いてはいけない」と感じながら通院されている方も少なくありません。
よしひろウィメンズクリニックでは、治療そのものだけでなく、治療に向き合う患者さんの気持ちにも目を向けています。専門家として最善と考える治療を提供しながらも、不安や疑問があれば立ち止まって話を聞くことを大切にしています。
初めての方も、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。私たちは、納得と安心のもとで治療を進められる環境づくりを目指しています。